並行複発酵とは、麹による糖化と酵母によるアルコール発酵が同時に進行する日本酒特有の発酵方法です。この仕組みによって、日本酒は醸造酒でありながら高いアルコール度数と豊かな旨味を実現しています。

日本酒は、世界の酒類の中でも非常に特殊な存在です。ワインでもない、ビールでもない。その理由の一つが並行複発酵にあります。日本酒の味わいや香り、そしてアルコール度数の高さは、この発酵技術によって支えられています。本記事では、並行複発酵の仕組みを SIPORY 編集部がわかりやすく解説します。

並行複発酵とは?

並行複発酵とは、糖化とアルコール発酵が同時に進む発酵方式です。

糖化とは

麹が米のでんぷんを糖に変えること。

アルコール発酵とは

酵母が糖をアルコールへ変えること。

同時進行する

日本酒では、この二つが同時に進みます。

製造フロー上の位置づけ

並行複発酵は醪の中で起こります。

精米
↓
洗米
↓
蒸米
↓
麹造り
↓
酒母造り
↓
醪
↓
並行複発酵
↓
上槽

主役は麹と酵母。この二つが協力して日本酒を生み出します。詳しくは 麹とは?酒母とは? を参照してください。

なぜ珍しいのか

世界の多くの酒は、糖化と発酵が別々です。

ワイン

ブドウに糖が含まれているため、発酵だけで酒になります。

ビール

糖化してから発酵します。

日本酒

糖化と発酵が同時進行。

この点が大きな違いです。

単行複発酵との違い

比較されることがあります。

項目 並行複発酵 単行複発酵
糖化 同時進行 先に行う
発酵 同時進行 後から行う
代表例 日本酒 ビール

日本酒独自の特徴で、世界的にも珍しい発酵方式です。

並行複発酵の仕組み

醪の中では常に変化が起きています。

ステップ1

麹が糖を作る。

ステップ2

酵母が糖を消費する。

ステップ3

アルコールが増える。

ステップ4

再び糖が供給される。

これが何週間も続きます。

発酵期間

日本酒の発酵は比較的長期間です。

種類 発酵期間
普通酒 約20〜30日
吟醸酒 約30〜40日
大吟醸 約35〜45日

低温長期発酵が吟醸酒の香りを生み出します。詳しくは 吟醸酒と大吟醸の違い を参照してください。

なぜアルコール度数が高いのか

日本酒の度数は13〜16%程度。原酒では18%を超えることもあります。

理由

糖が常に供給され続けるためです。

ワインとの比較

酒類 度数
ビール 4〜7%
ワイン 10〜15%
日本酒 13〜16%

詳しくは 日本酒とワインの違い を参照してください。

並行複発酵と旨味の関係

日本酒が旨味豊かな理由の一つです。

アミノ酸

豊富に生成される。

有機酸

味わいに奥行きを与える。

香気成分

吟醸香の形成にも関与。

杜氏と並行複発酵

発酵管理は杜氏の重要な仕事です。

温度管理

1℃の違いが酒質を変えることもあります。

発酵日数

狙った味わいに調整します。

経験が重要

数値だけでは管理できません。

詳しくは 杜氏とは?日本三大杜氏とは? を参照してください。

有名銘柄と並行複発酵

すべての日本酒で行われています。

獺祭

低温長期発酵で有名。

黒龍

繊細な発酵管理。

新政

伝統技術と革新の融合。

而今

発酵技術への評価が高い。

初心者向けに例えると

並行複発酵は、「パン工場と配送会社が同じ場所で同時に動いている状態」に近いです。

  • 麹 = パンを作る
  • 酵母 = 完成品を運ぶ
  • 同時進行 = だから効率が良い

編集部コメント

  • 初心者: ○
  • 日本酒好き: ◎
  • 酒蔵見学前: ◎

並行複発酵を理解すると、日本酒がなぜ世界で評価されるのかが見えてきます。

よくある質問

並行複発酵とは何ですか?

糖化と発酵が同時に進む日本酒特有の仕組みです。

なぜ珍しいのですか?

世界の酒類では同時進行が少ないためです。

日本酒だけですか?

代表的なのは日本酒です。

どの工程で行われますか?

主に醪発酵中です。

出典・参考

  • 国税庁「酒のしおり」
  • 日本酒造組合中央会「日本酒の基礎知識」
  • 酒類総合研究所「清酒醸造技術資料」
  • SAKETIMES「並行複発酵解説」

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まとめ

並行複発酵とは、麹による糖化と酵母によるアルコール発酵が同時に進む日本酒特有の発酵技術です。この仕組みによって、日本酒は醸造酒でありながら高いアルコール度数と豊かな旨味を実現しています。麹・酒母・醪との関係を理解すると、日本酒造りの本質が見えてきます。