亀の尾 (かめのお) は、1893 年 (明治 26 年) に山形県庄内の篤農家・阿部亀治が育成した米の品種です。コシヒカリやササニシキなど現代の食用米の祖先にあたる一方、酒米としても優れ、戦後に栽培が途絶えたあと 1980 年前後に新潟の久須美酒造が復活させて純米大吟醸「亀の翁 (かめのお)」を生み、その物語が漫画『夏子の酒』のモデルになりました。背が高くて倒れやすく、心白が小さいため精米が難しい「造りにくい米」ですが、辛口でキレがあり熟成で旨味が開く酒質で、今も全国の蔵が限定酒に使います。この記事では、亀の尾の読み方と歴史、特徴、山田錦・雄町との違い、「亀の尾」と「亀の翁」の違い、使う銘柄、料理との相性まで 1 ページにまとめました。

「亀の尾は何と読む?どんな米?」「亀の尾と亀の翁は何が違う?」「夏子の酒との関係は?」「亀の尾を使った日本酒は?」「山田錦と何が違う?」という疑問に、SIPORY編集部が答えます。

亀の尾 早見表

項目内容
読み方かめのお
分類在来品種 (もともとは食用米。酒造好適米として復活)
育成1893 年、山形県庄内 (現・庄内町) の阿部亀治が冷害に強い穂を選抜して育成
系譜コシヒカリ・ササニシキ・つや姫などの祖先
復活1970〜80 年代に山形の鯉川酒造、新潟の久須美酒造などが栽培を復活
亀の翁 (かめのお)久須美酒造 (新潟) が亀の尾で造る純米大吟醸の銘柄名。米の名前ではない
夏子の酒尾瀬あきらの漫画 (1988〜91 年)。幻の酒米「龍錦」復活の物語は亀の尾と久須美酒造がモデル
酒質辛口でキレがあり、熟成すると旨味が開く。香りは控えめ
栽培背が高く倒れやすい、心白が小さく精米が難しい、収量が少ない

亀の尾とは?読み方と歴史

亀の尾は「かめのお」と読みます。1893 年 (明治 26 年)、山形県庄内の農家・阿部亀治が、冷害の年に実っていた 3 本の穂を見つけて選抜・育成した品種です。冷害に強く多収だったため東日本に広まり、大正から昭和初期にかけて東日本を代表する品種になりました。コシヒカリ、ササニシキ、ひとめぼれ、つや姫など、現代の食用米の多くが亀の尾の系譜にあります。

しかし背が高く倒れやすく、化学肥料や機械化に合わなかったため、戦後は新しい品種に置き換わり、昭和 40 年代には栽培がほぼ途絶えました。

復活の物語: 鯉川酒造と久須美酒造、そして『夏子の酒』

1970 年代、山形県庄内の鯉川酒造が亀の尾の復活栽培に取り組み、1980 年前後には新潟県長岡市の久須美酒造が、わずか 1,500 粒ほどの種もみから 3 年かけて栽培を復活させ、1983 年に純米大吟醸「亀の翁 (かめのお)」を発売しました。「亀の翁」は蔵の銘柄名で、米の名前「亀の尾」とは字が違います。

この久須美酒造の物語をモデルに、尾瀬あきらが漫画『夏子の酒』(1988〜91 年、講談社モーニング) を描きました。作中の幻の酒米「龍錦」は亀の尾がモデルとされ、1994 年にテレビドラマ化もされて、亀の尾は「伝説の酒米」として全国に知られるようになりました。

→ 新潟県の日本酒ガイド / 山形県の日本酒ガイド

亀の尾の特徴: なぜ「造りにくい米」⁠なのか

項目亀の尾影響
草丈高い (1 m を超える)倒れやすく、台風や雨に弱い
心白小さい高精白が難しく、吟醸造りに手間がかかる
収量少ない価格が高く、限定酒になりやすい
酒質辛口でキレがあり、熟成で旨味が開く新酒より 1〜3 年寝かせた酒が評価される

食用米の系譜なのでタンパク質がやや多く、若いうちは硬さを感じることがあります。そのぶん熟成に耐え、年を経ると旨味と複雑さが出るのが亀の尾の持ち味で、「亀の翁」が 3 年熟成で出荷されるのはこのためです。

山田錦・雄町との違い

項目亀の尾山田錦雄町
分類在来の食用米 (酒造にも)酒造好適米酒造好適米 (在来)
育成1893 年、山形1936 年、兵庫1859 年発見、岡山
心白小さい大きく精米しやすい大きい
酒質辛口でキレ、熟成で旨味奥行きとふくらみ。王道濃醇で旨味が強い
向く造り純米、純米吟醸、熟成酒大吟醸から純米まで万能純米、純米吟醸
栽培の難しさ高い (倒伏)中 (温暖地向き)高い (倒伏)

→ 山田錦とは? / 雄町とは? / 酒米の種類一覧

亀の尾と亀の翁の違い

名前何か読み方
亀の尾米の品種名。阿部亀治が育成かめのお
亀の翁久須美酒造 (新潟) が亀の尾で造る純米大吟醸の銘柄名。3 年熟成かめのお

読み方は同じで、「翁」は蔵が復活の功労者への敬意を込めて付けた字とされます。ほかの蔵が亀の尾で造る酒は「〇〇 純米 亀の尾」のように米の名前で表記します。

亀の尾を使う代表銘柄

銘柄蔵元 (産地)特徴
亀の翁 純米大吟醸久須美酒造 (新潟・長岡)亀の尾復活の原点。3 年熟成で出荷
清泉 亀の尾久須美酒造 (新潟)同じ蔵の普段使いライン
鯉川 純米 亀の尾鯉川酒造 (山形・庄内)亀の尾の故郷の蔵。燗で生きる
亀の尾を使う限定酒全国の蔵 (山形・新潟・秋田・福島・福岡など)「亀の尾」とラベルに米名が入る限定の純米・純米吟醸が多い

亀の尾は生産量が少ないため限定酒が中心で、年によって出る蔵が変わります。ラベルの米名「亀の尾」で探すのが確実です。価格は蔵や店で確認してください。→ 日本酒の有名銘柄一覧

亀の尾の酒と料理の相性

辛口でキレがあり熟成で旨味が出るので、味のしっかりした料理や発酵食品と合います。

  • 焼き魚・干物: キレのある純米を常温〜ぬる燗で
  • 煮物・鍋: 熟成した亀の尾の旨味が出汁と重なる
  • チーズ・味噌料理・漬物: 熟成酒の複雑さと発酵食品
  • 庄内・新潟の郷土料理: 芋煮、のっぺ、鮭の酒びたし

→ 燗酒とは? / 日本酒と料理の相性 (ペアリング)

よくある質問

亀の尾は何と読みますか?

「かめのお」と読みます。1893 年に山形県庄内の阿部亀治が育成した米の品種で、名前は育成者の「亀治」にちなむとされます。

亀の尾と亀の翁の違いは何ですか?

亀の尾は米の品種名、亀の翁は新潟の久須美酒造が亀の尾で造る純米大吟醸の銘柄名です。読み方はどちらも「かめのお」です。

『夏子の酒』⁠の酒米は亀の尾ですか?

作中の「龍錦」は架空の米ですが、久須美酒造が亀の尾を復活させて「亀の翁」を造った物語がモデルとされています。

亀の尾はどんな味の酒になりますか?

辛口でキレがあり、香りは控えめです。若いうちは硬さを感じることがあり、1〜3 年熟成させると旨味と複雑さが開きます。

亀の尾は酒米ですか、食用米ですか?

もともとは食用米で、コシヒカリやササニシキの祖先にあたります。酒造にも向くことから、復活後は酒米として限定酒に使われています。

亀の尾の酒はどこで買えますか?

生産量が少なく限定酒が中心です。久須美酒造の「亀の翁」「清泉 亀の尾」、鯉川酒造の「鯉川 亀の尾」が代表で、地酒専門店や蔵の公式サイトで入荷を確認してください。

まとめ

  • 亀の尾 (かめのお) は 1893 年に山形・庄内の阿部亀治が育成した米。コシヒカリ・ササニシキの祖先
  • 戦後に途絶え、鯉川酒造と久須美酒造が復活。久須美酒造の「亀の翁」は『夏子の酒』のモデル
  • 背が高く心白が小さい「造りにくい米」。辛口でキレがあり、熟成で旨味が開く
  • 亀の尾は米の名前、亀の翁は銘柄名。限定酒はラベルの米名で探す

なお、20 歳未満の方は飲酒できません。

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出典・参考情報