お正月の日本酒といえば、元日の朝にいただく「お屠蘇 (おとそ)」、年越しや新年の集まりで開ける祝い酒、初詣の御神酒 (おみき)、そしてこの時期にしか出回らない新酒・しぼりたてです。お屠蘇は、屠蘇散 (とそさん) という生薬を日本酒やみりんに一晩浸して作る「薬酒」で、一年の邪気を払い長寿を願って家族で回し飲みする正月の作法。祝い酒には、乾杯向きのスパークリング日本酒、おせちに合う純米酒、縁起の良い名前の銘柄、金箔入りや樽酒などが選ばれます。

「お屠蘇とは?作り方は?」「正月に飲む日本酒はどう選ぶ?」「おせちに合う日本酒は?」「お年賀や年末の手土産におすすめは?」「新年に出る新酒って何?」という疑問に、SIPORY編集部が答えます。この記事では、お屠蘇の意味・作り方・作法、正月の日本酒の選び方 (乾杯・食中・縁起物)、おせちや年末年始の料理とのペアリング、お年賀と年末の贈り物、初詣の御神酒と鏡開き、新酒・しぼりたての楽しみ方、温度と酒器まで1ページにまとめました。

正月の日本酒 早見表

場面選ぶ酒ポイント
元日の朝 (お屠蘇)日本酒かみりんに屠蘇散を浸したもの屠蘇散は年末に薬局・スーパーで入手。若い人から順に飲む
新年の乾杯スパークリング日本酒、純米大吟醸華やかで、お酒に強くない人にも
おせち・お雑煮と純米酒、特別純米、燗向きの酒甘辛のあるおせちは旨味系の純米が受け止める
縁起をかつぐ名前に「福」「寿」「開運」「鶴」「亀」「松竹梅」などが入る銘柄、金箔入り贈答にも
年末年始の贈り物 (お歳暮・お年賀)有名銘柄の純米大吟醸、化粧箱入り12 月中旬までにお歳暮、松の内にお年賀
新年ならでは新酒・しぼりたて、立春朝搾り12 月〜2 月だけの季節酒

お屠蘇とは?意味と由来

お屠蘇は、数種類の生薬を合わせた「屠蘇散」を日本酒やみりんに浸して作る薬酒で、元日の朝、家族そろって年少者から順に飲み、一年の無病息災と長寿を願う正月の行事です。「屠蘇」は「邪気を屠 (ほふ) り、魂を蘇らせる」という意味とされます。

起源は中国の唐の時代の風習で、日本には平安時代に宮中の正月行事として伝わり、江戸時代に庶民に広まったとされています。屠蘇散の中身は山椒、桔梗、肉桂 (シナモン)、陳皮 (みかんの皮) などで、薬局やスーパーでは年末にティーバッグ型の屠蘇散が並びます。

お屠蘇は日本酒だけで作ると辛口の薬酒に、みりんで作ると甘い薬酒になります。地域や家庭によって日本酒とみりんを合わせることも多く、西日本ではみりん寄り、東日本では日本酒寄りの家庭が多いと言われます。

お屠蘇の作り方と作法

作り方

  1. 大晦日の夜、屠蘇散 1 包を日本酒 (または日本酒とみりんを合わせたもの) 300ml 前後に浸す
  2. 5〜8 時間ほど置いて、元日の朝に屠蘇散を取り出す
  3. 屠蘇器 (銚子と三段重ねの盃) に移す。無ければ普通の徳利と盃でよい

浸す時間が長すぎると苦くなるので、一晩を目安にします。みりんは「本みりん」を使うと甘みがきれいに出ます。

飲み方の作法

  • 元日の朝、おせちの前に家族で東を向いていただくのが伝統的な作法とされる
  • 年少者から年長者へ順に飲む (若い人の生気を年長者に渡すという意味)
  • 三段重ねの盃は小・中・大の順に 3 回に分けて、または 1 杯ずつ
  • 20 歳未満の人は飲まず、盃に口をつける真似だけにするか、お屠蘇に見立てたジュースで

→ 日本酒の飲み方マナー

正月の日本酒の選び方

新年の乾杯には

年が明けて最初の一杯は、華やかで誰でも飲みやすいものを。瓶内二次発酵のスパークリング日本酒はシャンパンのように開けられ、お酒に強くない家族や親戚にも受け入れられます。香りの華やかな純米大吟醸も乾杯向きです。

→ スパークリング日本酒ガイド / 純米大吟醸とは

おせちやお雑煮と一緒に

おせちは甘辛の煮物、酢の物、焼き物、魚卵など味の幅が広い料理の集まりです。食中酒には、旨味があって料理を選ばない純米酒・特別純米が向きます。寒い時期なので、燗にして旨味を広げるのも正月らしい楽しみ方です。

→ 燗酒とは / 冬の日本酒と燗酒

縁起の良い銘柄

正月には名前で選ぶのも楽しみの一つです。「開運」(静岡)、「福寿」(兵庫)、「寿」や「鶴」「亀」「松竹梅」「正宗」が付く銘柄、干支のラベル、金箔入りの純米酒など、縁起をかついだ商品が年末に多く並びます。味で選ぶなら、同じ蔵の普段の酒を飲んでから金箔入りや干支ラベルを選ぶと失敗がありません。

樽酒と鏡開き

樽酒 (たるざけ) は杉の樽で香りをつけた酒で、正月や祝いの席の定番です。家庭用には小さな樽や、樽酒を瓶詰めした商品があります。鏡開きの「鏡」は酒樽のふたのことで、木づちで割って振る舞うのが祝いの作法です。

→ 日本酒の有名銘柄一覧 / 日本酒おすすめランキング

おせち・年末年始の料理とのペアリング

料理合う日本酒
数の子、かまぼこ、なます淡麗な純米、本醸造。すっきり系
黒豆、栗きんとん、伊達巻 (甘い料理)甘みのある純米、にごり酒、スパークリング
煮しめ、筑前煮旨味のある純米酒、ぬる燗
ぶりの照り焼き、ローストビーフ山廃・生酛、純米原酒
お雑煮 (すまし)純米吟醸、淡麗な純米
お雑煮 (白味噌)旨味のある純米、燗
年越しそば本醸造、純米のぬる燗
鍋 (すき焼き、かに鍋)純米酒の燗、濃醇な純米

迷ったら「甘い料理には甘みのある酒、味の濃い料理には旨味のある酒、冷たい料理には冷酒、温かい料理には燗」で合わせます。

→ 日本酒と料理のペアリング / にごり酒とは

年末年始の贈り物: お歳暮とお年賀

贈り物時期の目安選び方
お歳暮12 月上旬〜20 日ごろ有名銘柄の純米大吟醸や化粧箱入り。冬なので燗向きの純米や新酒も
お年賀松の内 (1 月 7 日ごろまで) に持参四合瓶の縁起物、スパークリング、干支ラベル
帰省の手土産年末自分の住む地域の地酒。話のきっかけになる
新年会の差し入れ1 月一升瓶の定番銘柄か、飲み比べセット

日本酒ギフトは「相手の経験値・予算・シーン」を先に決めると外しません。のしは、お歳暮なら「御歳暮」、お年賀なら「御年賀」の表書きで、紅白の蝶結びの水引を使います。

→ 日本酒ギフトの選び方 / 日本酒ギフトのマナーとのし

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初詣の御神酒と、正月の酒の風習

初詣の神社で振る舞われる御神酒 (おみき) は、神前に供えた酒のお下がりで、いただくことで神様の力を分けてもらうという意味があります。神社によっては樽酒の鏡開きや甘酒の振る舞いもあります。

このほか、正月には地域ごとの酒の風習があります。酒蔵の多い地域では新年に蔵開きが行われ、しぼりたての新酒を味わえることもあります。

→ 日本酒イベントの楽しみ方

新年ならではの酒: 新酒・しぼりたて・立春朝搾り

12 月から 2 月は、その年の秋に収穫した新米で仕込んだ「新酒」がしぼられる季節です。「しぼりたて」「新酒」「初しぼり」とラベルにあるものは、火入れをしていない生酒が多く、フレッシュで微発泡を感じることもあります。年末年始の食卓に新酒を 1 本加えると、季節感が出ます。

2 月の立春の早朝にしぼって当日に届ける「立春朝搾り」(日本名門酒会) のように、新年の節目に合わせた季節限定の酒もあります。

→ 新酒・しぼりたてとは / 日本酒の季節と限定酒

温度と酒器

  • 乾杯のスパークリング・純米大吟醸: よく冷やして (5〜10 度)。ワイングラスやフルート型
  • おせちと純米酒: 常温からぬる燗 (40 度前後)。徳利とお猪口、または平杯
  • お屠蘇: 常温。屠蘇器があれば三段重ねの盃で
  • 保存: 生酒の新酒は冷蔵。開栓した酒は早めに飲み切る。正月に飲み切れない一升瓶は、冷暗所で立てて保存

→ 日本酒の温度と燗の基本 / 日本酒グラスの選び方 / 日本酒の保存方法

よくある質問

お屠蘇とは何ですか?

屠蘇散という生薬を日本酒やみりんに浸して作る薬酒で、元日の朝に家族で飲んで一年の無病息災と長寿を願う正月の行事です。日本酒そのものではなく、生薬の香りがついた酒です。

お屠蘇の作り方は?

大晦日の夜に屠蘇散 1 包を日本酒 (またはみりんと合わせたもの) 300ml 前後に 5〜8 時間浸し、元日の朝に取り出します。長く浸しすぎると苦くなります。

お屠蘇は誰から飲みますか?

年少者から年長者の順に飲むのが伝統的な作法です。20 歳未満の人は飲まず、口をつける真似だけにします。

正月に飲む日本酒のおすすめは?

乾杯にはスパークリング日本酒や純米大吟醸、おせちには旨味のある純米酒や燗酒、縁起をかつぐなら「開運」「福寿」など名前に福や寿の付く銘柄や金箔入りが定番です。

おせちに合う日本酒は?

味の幅が広いおせちには、料理を選ばない純米酒・特別純米が合います。甘い料理 (黒豆、栗きんとん) には甘みのある酒やスパークリング、煮しめにはぬる燗がおすすめです。

お年賀に日本酒を贈るときのマナーは?

松の内 (1 月 7 日ごろまで) に持参し、のしは「御年賀」、紅白の蝶結びの水引を使います。四合瓶の縁起物やスパークリングが喜ばれます。

新酒とは何ですか?

その年の秋に収穫した新米で仕込み、12 月から 2 月ごろにしぼられる日本酒です。「しぼりたて」「初しぼり」とも呼ばれ、フレッシュな生酒が多く出回ります。

まとめ

  • お屠蘇は屠蘇散を日本酒やみりんに浸した薬酒。元日の朝、年少者から順に飲んで一年の健康を願う
  • 乾杯はスパークリングや純米大吟醸、おせちには純米酒や燗酒、縁起をかつぐなら名前や金箔で
  • お歳暮は 12 月 20 日ごろまで、お年賀は松の内に。のしの表書きを間違えない
  • 12 月〜2 月は新酒・しぼりたての季節。食卓に 1 本加えると季節感が出る

なお、20 歳未満の方は飲酒できません。

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出典・参考