日本酒イベントの企画書は、会場・蔵元・協賛企業・出演者というすべての交渉相手に対する「共通の土台」です。頭の中にある構想を10項目のフォーマットに落とし、逆算スケジュール表とセットで持ち歩ける状態にすることが、開催準備の実質的なスタートになります。この記事では、数千人規模の日本酒イベント「超吟醸祭」を主催するSIPORY編集部が、そのまま使える企画書の構成テンプレートと逆算スケジュール表を公開します。

企画書に入れる10項目テンプレート

以下の10項目を順番に埋めれば、交渉に使える企画書の骨格が完成します。

  1. イベント名 (仮称可) とコンセプト — 一文で「誰のための、何のイベントか」
  2. 開催概要 — 日時 (候補日)・会場 (候補)・形式 (試飲し放題/杯売り・入替制の有無)
  3. ターゲット — 来てほしい層と想定来場者数、その根拠
  4. コンテンツ — 出展蔵数の目標・ステージ企画・フード・物販
  5. チケット設計 — 券種・価格帯・販売スケジュール
  6. 収支計画 — 費用4ブロックと収入4本柱の概算、損益分岐の来場者数
  7. 体制 — 主催者・運営・当日スタッフの座組
  8. スケジュール — 逆算スケジュール表 (後述)
  9. リスクと対応 — 天候・免許や許可・保険・中止基準
  10. 相手別の依頼事項 — この企画書を渡す相手に「何をお願いしたいか」

ポイントは10番です。同じ企画書でも、会場には「この日程で借りたい」、蔵元には「出展してほしい」、協賛企業には「このメニューで参画してほしい」と、最後のページだけ相手別に差し替える運用にすると、1つの企画書を全交渉に使い回せます。各項目の中身の詰め方は 日本酒イベントの開催方法ガイド で解説しています。

最初の1枚は「サマリー」に全てを圧縮する

交渉相手が最初の1枚で読み取れるべきは、日時・場所・規模・形式・お願いしたいこと、の5点です。詳細ページがどれだけ充実していても、1枚目で全体像が掴めない企画書は読まれません。イベント名・コンセプト一文・開催概要・想定来場者数・依頼事項を1枚に収め、2枚目以降を根拠と詳細に充てる構成にします。

逆算スケジュール表テンプレート (6か月版)

時期企画・会場出展・出演販売・集客許認可・リスク
6か月前コンセプト確定・企画書作成出展候補のリストアップ
5か月前会場の内見・仮押さえ出展依頼の送付開始券種・価格の設計会場要件 (保険等) の確認
4か月前会場契約・レイアウト初版出展蔵の確定開始ティザーページ公開税務署・保健所へ相談
3か月前制作物の発注出演者・企画の確定先行販売開始・リリース準備免許申請・保険見積もり
2か月前会場詳細打合せ出展条件の最終確認一般販売開始・リリース配信保険加入・警備計画
1か月前進行表・動線の確定搬入出案内の送付告知の最終攻勢中止判断基準の確定
当日設営・運営・撤収蔵元受け入れ当日券・SNS発信救護体制の稼働
開催後原状回復・振り返り精算・レポート送付開催レポート公開事故・クレーム対応の記録

小規模な試飲会であれば全体を3か月程度に圧縮できますが、列の構成 (4つの並行ライン) は規模にかかわらず同じです。準備が破綻するのは、たいてい「販売・集客」に集中して「許認可・リスク」の列が空白のまま進んだときです。免許・許可の詳細は 免許・許可まとめ、保険は 日本酒イベントの保険ガイド を参照してください。

規模別・企画書の重心の違い

  • 店舗での試飲会 (〜50人) — 収支計画は簡素でよく、コンセプトと集客導線に重心を置きます
  • 数百人規模 — 会場条件と免許・許可、スタッフ体制の具体性が問われます
  • 数千人規模 — 収支計画・警備救護・興行中止時の対応まで、交渉相手 (大型会場・協賛企業) の審査に耐える精度が必要です

企画書でよくあるNG

  • 想定来場者数に根拠がない (希望値だけが書いてある)
  • 収支計画に変動費と固定費の区別がない
  • スケジュールに許認可・保険の行がない
  • 「誰に何をお願いしたいのか」が書かれていない

いずれも交渉相手から見ると「この主催者は大丈夫か」という不安に直結します。逆に言えば、この4点が埋まっている企画書は初回開催でも信頼されます。

企画書の段階から相談したい主催者の方へ

SIPORY EVENT SUPPORT は、企画段階・日程未定の状態からの相談を受け付けています。数千人規模イベントの運営実務にもとづいて、企画書の壁打ちから収支設計・スケジュールの精査までお手伝いします。初期費用0円・チケット売上の10%のみです。

よくある質問

企画書は何ページくらいが適切ですか?

サマリー1枚+詳細で合計5〜10ページ程度が目安です。分量より「1枚目で全体像が掴めること」と「数字に根拠があること」が重要です。

日程はいつ確定させるべきですか?

会場の仮押さえと同時、つまり開催5〜6か月前が目安です。候補日は複数持ち、蔵の繁忙期 (冬の仕込み時期) と大型イベントの重複を避けて設定します。

企画書なしで会場や蔵元に相談してもいいですか?

初回の雑談レベルなら構いませんが、具体的な交渉には必ず企画書を用意してください。口頭の構想は相手の社内で共有されず、話が前に進みません。

企画書づくりを手伝ってもらうことはできますか?

できます。SIPORY EVENT SUPPORT は企画段階・日程未定の状態からの相談を受け付けており、超吟醸祭を企画から自社で立ち上げてきた当事者経験にもとづいて、企画書の壁打ち・収支設計・スケジュールの精査までサポートします。運営実務ごと任せる選択肢は 運営代行・委託ガイド にまとめています。

準備期間が3か月しかない場合、どこを圧縮すべきですか?

圧縮できるのは制作・告知まわりの並行作業です。逆に、免許・許可の申請、保険の手配、会場契約は圧縮できない行程なので、最初の2週間でこの3つに着手し、販売開始を最優先で前倒しします。3か月を切っている場合は、規模を落とすか日程を後ろにずらす判断も選択肢です。

出典・参考